【ツナの場合】
嘘。
虚言。
空言。
この痛みを埋めるなら幾らだって吐き捨てる。
ウソ。
「好きだよ」
呟いて、君の肩に額を寄せる。
「じゅ…」
「好き、好き好き好き好き」
君の言葉を遮るようにつぶやき続ける。
こわばっていた君の体から力が抜ける。
「……どうかしましたか?十代目」
優しい君の言葉。
俺の奇妙な行動に裏があるのを君は知っている。
「好きだよ」
もう、それは自分に言い聞かせるようだった。
「俺もです」
優しい君の言葉。
俺の頭を撫でて、頬に触れるだけのキスを落とす。
それが物足りなくて、自分から相手の唇に自分のを寄せる。
恥ずかしくて。
火が出そうだ。
けれど、偽り続けた心が叫ぶ。
違う。
好きとは違う。
「十代目…愛してます…」
耳元に寄せられた唇からの声にぞくりと背中を走る何か。
多分、もう、『好き』などという域はとっくに越えているのだ。
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