【ツナの場合】





 嘘。

 虚言。

 空言。


 この痛みを埋めるなら幾らだって吐き捨てる。





       ウソ。





「好きだよ」

 呟いて、君の肩に額を寄せる。

「じゅ…」

「好き、好き好き好き好き」

 君の言葉を遮るようにつぶやき続ける。

 こわばっていた君の体から力が抜ける。


「……どうかしましたか?十代目」

 優しい君の言葉。

 俺の奇妙な行動に裏があるのを君は知っている。

「好きだよ」


 もう、それは自分に言い聞かせるようだった。


「俺もです」

 優しい君の言葉。

 俺の頭を撫でて、頬に触れるだけのキスを落とす。

 それが物足りなくて、自分から相手の唇に自分のを寄せる。

 恥ずかしくて。

 火が出そうだ。


 けれど、偽り続けた心が叫ぶ。

 違う。

 好きとは違う。


「十代目…愛してます…」

 耳元に寄せられた唇からの声にぞくりと背中を走る何か。



 多分、もう、『好き』などという域はとっくに越えているのだ。









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 拍手御礼第二弾。
 ツナバージョン。

≫掲載期間:07年3月22日〜07年9月9日