弱点

 その姿が目に入ってすごく嬉しくなった。

 一瞬その名を呼ぼうとする。

 そして思い留まる。

 少し考え、驚かそうと静かに近付き手を伸ばした。

 驚く姿を想像して。



 が、不意に相手が動き、背中を叩くはずだった自分の手が相手の背中をかする。


「うっぁ!」


 奇妙な声と共に相手の手から書物の束が豪快な音を立てて落ちた。

「陸遜・・・・?」

 あまりにも意外な反応に名を呼ぶと、陸遜は驚いたように振り返る。

「ちょ、趙雲殿・・・・!?」

 陸遜の手はしっかりと自分自身の背中を抑えている。

「大丈夫か?」

 陸遜は慌てたように大丈夫ですと手を振って言うと、落ちた書物を拾おうとする。

 そこである考えに思い至る。
 それを確かめるには試してみるしかない。

 人差し指で陸遜の背中の中心を撫でる。

「うわぁっ」

 再び陸遜の手から書物が流れ落ちる。

「な、何するんですか!?」

「もしかして弱いのか?背中」

 陸遜は問いに答えない。ただ口をぱくぱくと動かしていた。

 思わず笑みが零れる。

「わ、笑わないで下さいっ!」
「いや、かわいいなと思って」

 こみ上げる笑いを留められずに笑い続ける。
 こういうことを言うと怒るのはわかっていたけど。

 一生懸命笑いを止めようとする陸遜。


――――そんな君をひどくいとおしくと思う


                       End



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 書き溜め大放出第二弾!
 というわけで、これもいつ作ったのか記憶があいまいな作品。
 とにかく、陸遜の弱点見つけて嬉しそうな趙雲が書きたかったんです!
 そのうち逆パターンも書いてみたいですねvv
 でゎ、こんなところまで読んで頂きありがとうございました!!

≫掲載日:2006年7月19日